KRC-01の腫瘍免疫活性化に関する研究成果がAACR 2023で発表されます

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株式会社KORTUC(東京都港区、代表取締役:松田和之)と国立大学法人岡山大学(以下「岡山大学」、本部:岡山市北区、学長:槇野博史)は、新規放射線増感剤KRC-01のがんに対する免疫応答(抗腫瘍免疫応答)の活性化機構の解明についての共同研究を2021年10月から実施しています。この度、その研究成果が、2023年4月14日から米国フロリダ州オーランドで開催されるAACR 2023(American Association for Cancer Research Annual Meeting, 2023)で発表されますのでお知らせいたします。

欧米先進国では、がん患者さんの約半数以上が放射線治療を受けています。しかし、乳がん、肺がんをはじめとするほとんどの固形がんでは、ある一定以上の大きさになるとがん中心部やその周辺部が低酸素状態となり、それが原因で放射線治療が効きにくくなることが知られています。KRC-01は新しい発想・発見に基づいた放射線増感剤であり、がん組織に酸素を供給するとともに、放射線抵抗性の原因のひとつである抗酸化酵素を失活させることによって優れた放射線治療効果を発揮することが期待されています。
また、放射線治療は抗腫瘍免疫応答を活性化することが知られ、免疫チェックポイント阻害剤との併用による抗腫瘍免疫応答活性化の相乗効果を期待して、多くの臨床試験が進行中です。しかしながら、放射線治療が効きにくくなる原因の低酸素状態は抗腫瘍免疫応答にも悪影響を及ぼすとされています。
腫瘍免疫の専門家である、岡山大学学術研究院医歯薬学域・腫瘍微小環境学の冨樫庸介教授はKRC-01の特徴的な殺細胞作用機序に着目し、新たな抗腫瘍免疫応答の賦活薬としてのKRC-01の可能性を共同で検討してきました。

その結果、KRC-01は放射線との併用により、治療していない遠隔転移巣への抗腫瘍効果を発揮し、その作用は腫瘍特異的な免疫賦活化に基づくものであることが明らかとなりました。さらに、この抗腫瘍作用は、免疫チェックポイント阻害薬と併用することによりさらに増強されることが明らかになりました。これは、局所治療薬(放射線増感剤)のみならず、全身性の免疫賦活薬としてのKRC-01の新たな可能性を示す結果であると言えます。