FLASH放射線治療のKORTUCによる増感に関する共同研究をギュスターヴ・ルッシー研究所と開始しました

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KORTUC INC.(米国カリフォルニア州、CEO:松田和之)は、フランス、ギュスターヴ・ルッシー研究所(Gustave Roussy)とKORTUC INC.が開発する新規放射線増感剤KORTUCのFLASH放射線治療の増感に関する共同研究を開始いたしましたのでお知らせします。

欧米先進国では、がん患者さんの約半数以上が放射線治療を受けています。しかし、乳がん、肺がんをはじめとするほとんどの固形がんでは、ある一定以上の大きさになるとがん中心部やその周辺部が低酸素状態となり、それが原因で放射線治療が効きにくくなることが知られています。KORTUCは新しい発想・発見に基づいた放射線増感剤であり、がん組織に酸素を供給するとともに、放射線抵抗性の原因のひとつである抗酸化酵素を失活させることによって優れた放射線治療増感効果を発揮することが期待され、現在、乳がん、子宮頸がん、直腸がんの治療薬として開発を進めています。

FLASH放射線治療とは、通常の放射線治療の線量率の数百倍から千倍高い線量率で照射を行う次世代の放射線技術です。FLASH放射線治療の注目すべき点は、腫瘍に対する効果が変わらないままで正常組織への障害が減少する現象が起きることであり(FLASH現象といいます)、今までの放射線治療の様式を変えるインパクトがあります。一方、FLASH現象が起きる詳細なメカニズムは解明されていないため、世界中で研究が進められています。

Gustave Roussyは、ヨーロッパを代表するグローバルながん研究所であり、希少がんや複雑な腫瘍の管理の専門知識を有し、全てのがんをあらゆるステージで治療し、革新性と人道的なアプローチを組み合わせた個別の治療手段を患者さんに提供しています。腫瘍放射線の専門家であるGustave Roussy・放射線治療科のEric Deutsch教授はKORTUCの特徴的な作用機序に着目しており、両者は共同でFLASH放射線治療の増感剤としてのKORTUCの可能性を検討することを目指します。